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コラム

博物館を『知識』のワンダーランドに
−歴史的建造物の保存と活用−

<最古の歴史「大間々銀行」>
文化財の建物といったら、皆さんは何を連想されるでしょうか。おそらく多くの方は城や神社仏閣、武家屋敷などを挙げられると思います。でも、ちょっと待ってください。現在コノドント館となっているレンガタイル造りの銀行建築も、近代社会成立期の大間々の歴史を物語ってくれる貴重な文化遺産なのです。このモダンな洋館は大正10年建築のものですが、大間々銀行自体はもっと古く、明治16年創業の県内最古の私立銀行としての歴史があります。
コノドント館(正式には「大間々博物館」ですが)の開設に至る出発点は、まさにこの建物の保存にありました。町教育委員会としてはさらに進んで、当時のレトロな外観や内装を残したまま、博物館として活用できないかと検討を開始したのです。これまで全国的にも建造物の保護策はほとんどが明治期のものまでに止まっていたため、周辺の市町村でも大正期の優秀な建物が次々と消滅する傾向にありました。最近ではこれを食い止めるため、大正時代まで保護の網を広げようという考えに変わりつつあります。
こうした流れを先取りする形で、コノドント館が開設に向けてスタートできたのも、歴史探訪会や文化協会など、郷土の歴史と文化を愛する町民の活動の盛り上がりが大きく寄与しているのでしょう。来館者から「大間々って所は文化を大切にしてる町なんだね」などと、町民の文化意識の高さを褒める声を聴くたびに、館で居合わせた私たちはチョッピリこそばゆい思いをしています。
回転舞台や内部装飾など、昭和初期の劇場の面影を残した『ながめ余興場』が最近話題になっています。全国的に見ても貴重となった建物ですので、取り扱いについては「ながめ」だけに「長い目」で見ることが必要かもしれません。後でどんなにお金を積んでも、この町の歴史や文化遺産を買うことはできないのですから・・・。

<博物館の可能性を求めて>
「あなた(コノドント館)の発想は半分民間だよ。だから、いくらでも協力しているんですけどね」と、資料提供などで館の企画を応援していただいている実業家の方から言われたことがあります。
これまでは、ややもすると博物館の目が一部の専門家に向き過ぎたきらいがあったようです。そのため、それぞれの館がどんなに真剣に取り組んでいても大きく流動する社会の動きの中では、結果として博物館だけが取り残されがちだったのです。もしも、専門用語を多用した展示の方が高尚に感じるとしたら、それは少しおかしなことです(個人的には嫌いではないのですが)。博物館には調査・研究のほかに「学問的知識の普及」という大きな使命があることを忘れてはならず、そのためには一般の方が気軽に「知識と遊び」にこられる環境づくりが必要なのです。
コノドント館では、通俗的になることなく夢があり分かりやすい展示とすることが、これからの博物館に求められる条件と考えました。言い換えれば、博物館としての品位を失うことなく、それでいて親しまれる館で在り続けたいということなのです。この考えは、柔軟な発想で博物館活動や文化財の活用に取り組んでおられる方ほど賛同されています。
行政から民間企業に至るまで生涯学習に取り組もうとしている現在にあって、博物館は図書館や公民館と共にその中核となる存在です。これからは、どちらかと言えば受け身の「教育」から、積極的に「学習」を楽しむ時代になるのでしょう。

「どうせつくるのなら群馬県一にしよう!」とは、開設前のスタッフが顔を合わせるたびに聞かされた言葉です。ごく短期だった準備期間のなかで何とかオープンにこぎつけたのも、「少し目標が高すぎるんじゃないかな」と感じたこの掛け声に励まされていた面が少なくなかったようです。

Script:竹内/広報おおまNo.216(平成3年11月)




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