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貝のふしぎな仲間たち |
−貝に魅せられた綿屋さん− |
「貝を集め始めた切っ掛けは?」
吾妻郡吾妻町にある高橋茂さんの『高橋貝類標本室』を訪れ、県内で最も充実した膨大な量の貝類の標本を見せていただいた後、こんな質問をしたところ。
「うーん・・・・・・、特にないんですよ。(収集している)人のを見て、何となく集めてみようかなって思って・・・・・・」「海の貝を集めているうちに、自然と群馬の貝もやるようになったんです」「子供と同じですよ」と、さりげない答えが返ってきました。
<11万種もいる貝の仲間>
今年もまた、コノドント館の夏季企画展の季節がやってきました。この時期は海や山に出掛けることの多い季節です。そこで大自然の不思議と素晴らしさを知っていただく企画の一環として、この夏は「貝」をテーマに企画展を開催いたします。
そうそう、何億年か前の大間々地方はコノドント動物の泳ぐ浅い海でしたから、海の貝の仲間もいたはずです。数億年の長い進化の歴史をもつ貝類など軟体動物の仲間は、動物界において昆虫に次ぐ一大種群を構成し、地球上に約11万種も生息しています。
日本の近海は暖流と寒流がぶつかり合うため、世界的にみて貝の種類が豊富だといわれています。しかし貝類は海にいるものばかりではありません。標高6千メートルの高山から水深1万メート以上の深海底まで、広い生活圏をもって繁栄しています。海なし県といわれる群馬県でも、カタツムリなどの陸貝やシジミなどの淡水貝の仲間がたくさんいます。
今回の企画展では、高橋さんのほか、大間々町内のコレクターの金子倉吉さんや林信悟さんなどのご協力により、世界中の主だった貝や貝化石をはじめとし、展示総数約3千2百点、種類にして6百種もの貝の仲間を展示できることになりました。次に、特に興味深く楽しいものを紹介してみましょう。
<二枚貝なのに巻き貝?>
まず「日本三名宝」の貝です。これは日本特産の貝で、美しくしかも産出の少ない貝三種をいいますが、そのうち最も美しいオトメダカラとニッポンダカラを展示します。次に、宝貝の中で最も美しい貝のナンヨウダカラ、フィジー島ではこの貝を飾ることが酋長の特権とされていました。
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カサガイ |
ユリヤガイは二枚の殻をもつことから以前は二枚貝の仲間とされていましたが、頭があり這って進むことから、巻き貝に分類されるようになった風変わりな貝です。小笠原特産で海中の岩に付着するカサガイは、1970年に天然記念物に指定されています。陸貝の仲間のカタツムリといえば、湿気の多い場所を好むはずですが、砂漠に住むカタツムリもいるそうです。
また地元である大間々・桐生地方に分布する87種をはじめとし、身近にいながら見過ごされがちな群馬県産貝類については、高橋さんのコレクションでなければ見ることはできないものです。
高橋茂さんは貝の収集をしているだけではありません。群馬の貝類研究の第一線にいる人なのです。その高橋さんが県内380地点を訪れ、調査した結果を集大成したものが、昭和59年に刊行された『群馬県陸産および淡水産貝類目録』です。この本に記載されている140種のうち、4割以上の57種が高橋さんの新発見といいますから驚かされてしまいます。
高橋さんが貝に夢中になり始めたのは33歳のころからで、それ以来、今日まで30年ほど家業の綿屋を営む傍ら、調査と収集を続けてきているとのことです。まさにライフワークといえるでしょう。
自分のあげた成果について特に誇ることもせず、とつとつと貝の説明をしてくださる姿に接していると、「好きだからやっているだけ」というアマチュアならではの楽しさが、こちらにも伝わってくるのでした。 |
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Script:竹内/広報おおままNo.211(平成3年7月) |
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