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コラム

「ヤマセミ」を見たことがありますか
−ジオラマの野鳥たち−

見たことのない美しい野鳥に出会ったとき、「何て名の鳥なんだろう」「もしかすると新種じゃないかな」と思ったことはありませんか。こんなことが、近頃は日本でもアウトドア・スポーツの一つとして人気のある「バードウォッチング(野鳥観察)」を始めるきっかけとなっているようです。

秋から冬は木の葉が落ちて鳥の姿もよく見えるうえ、庭先の熟した柿の実をついばむなど、私たちの目にふれる機会が増え、観察には絶好の季節を迎えています。5月のバード・ウィークのほかに、11月の1日から「バードウォッチング・ウィーク」があるのもこんな理由からです。

<剥製より実物に近い?>
コノドント館で野鳥を展示しているところは、自然展示室の「生態ジオラマ」です。ここは、ちょうど今ごろの季節の大間々の山を再現したもので、作製に当たっては町美術協会や豊樹会の皆さんのご協力をいただいています。実はこのコーナーの中で展示した野鳥は、地面にいるヤマドリのほかは剥製(はくせい)ではないのです。
確かに剥製は実物を使っているので、実際の姿に最も近いはずです。しかし、小さな鳥は羽が傷みやすいため、生きているときのような艶や生き生きした表情が失われやすいのです。さらに、展示するためであってもほとんどの野鳥は捕ることが禁止されているので、資料としたい鳥がなかなか確保できないのが実状となっています。
そこで最近各地の先進的な博物館が取り入れ始めたのが「バードガービング」です。バードガービングとは木彫りの鳥のことで、欧米では盛んな趣味の一つです。ただし博物館で採用しているものは、羽根の1本1本まで丹念に彫り込んだ非常に精密なものであるため、少し離れると本物と区別がつかないほどです。コノドント館でも、県内の博物館では初めて展示資料に使っています。
展示したのは、スズメくらいの大きさで、一見地味ですが上品で美しい羽根の色のシジュウカラ。繁殖期の朗らかなさえずり「キコキコキー」というのが「お菊二十四(おきくにじゅうし)」と聞こえ、黄色の大きなくちばしが特徴のイカル。それにキツツキの仲間で、背中が黒く後頭部などに赤みがあるアカゲラです。

<高津戸峡のヤマセミ>
これからバードウォッチングに行ってみようという方は、落ち葉を踏みしめての散策がてらに、木道やあずま屋などが整備され安全で歩きやすくなった史跡高津戸城や、結婚の森のある要害山に出かけてはいかがでしょう。また早川貯水池から桐原の瀬戸ヶ原にかけても、たくさんの冬鳥にあえるコースです。
ところで、大間々にいる水辺の鳥としては、まず「ヤマセミ」を紹介しなければなりません。鮮やかな色彩のカワセミが平地に分布しているのに対し、ハトくらいの大きさで、黒と白の鹿の子(かのこ)模様とオシャレな長い冠毛が特徴のこの鳥は、山地の渓流やがけのある水辺などにしか棲息(せいそく)せず、数もはるかに少ないため、どこでも見られる鳥ではありません。それだけで山紫水明の地であると分かります。
景勝地高津戸峡の周辺一体をテリトリーとするヤマセミは、町のシンボル・バードといえるかもしれません。

「とるのは写真だけ」というバードウォッチングは、自然に親しみたいという気持ちがあればだれにでもできます。初めのうちは、経験のある人に同行してもらうと、驚くほどたくさんの野鳥たちに出会えるでしょう。
野鳥については、観察できる場所のほか、双眼鏡の選び方や写真の撮り方などの情報も提供しますので、遠慮なくお尋ね下さい。
コノドント館は大間々町の財産である豊かな自然を再認識してもらえる展示を、これからも心がけたいと思っています。

Script:竹内/広報おおままNo.192(平成元年11月)




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