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学芸論文

上毛新聞「視点 オピニオン21」より 

『美術館の役割(3) 子どもたちに心の教育』

  富弘美術館 館長 聖生清重
 

 みどり市教育委員会、みどり市教育研究所は、毎年、教職員の資質向上などを目的にした「研究報告会」をみどり市内の14幼小中学校の全教職員を対象に開催しています。

 今年は、1月29日に開かれ、私も主任学芸員とともに出席しました。研究報告を行った4班のうちの1班である「豊かな心」育成班の研究、授業実践に富弘美術館が協力させていただいたことから、招かれたのです。

 「豊かな心」育成班の5人の先生は、星野富弘さんの生き方、詩画作品、著作本、富弘美術館などを活用し、幼稚園、小学校、中学校で実践した授業の内容、成果と課題を報告しました。

 具体的には、幼稚園の親子行事(芋掘りと親子での詩画制作)、小学6年の音楽(富弘さんの思いを踏まえた歌唱表現)、小学5年の国語(並行読書の教材に富弘作品を使用)、中学2年の道徳(信頼・友情)、中学3年の道徳(生命尊重)で、子どもたちの発達段階に応じた授業モデルが提示されました。

 研究と授業実践での富弘美術館の役割は、富弘さん出演のメッセージビデオ制作の協力、学芸員による出前授業(詩画制作)、来館時の応対、杲(ひので)の会(ボランティアで構成する朗読グループ)による出前朗読などです。

 学芸員が詩画制作を指導する授業を通じて分かったことのひとつは「詩画制作は、自分の思いや生き方に対する考えを明確にしたり、日常の何気ないことに目を向けさせる効果がある」ということでした。この授業は、公募展の応募増にもつながりました。

 「豊かな心」育成班で3年間、地元の東中学校で熱心に取り組んだ髙畑展仁先生は、研究・実践をこう総括しています。「富弘さんの生き方や作品は、生徒の思考を揺さぶり、生徒の心に響く力があり、教育的価値が高い。富弘さんから学んだことは、将来生徒たちが困難に出合った時などに大きな心の支えになるのではないか」

 また、本格的な美術館である富弘美術館で「富弘作品」だけでなく、公募展で展示された自分の作品を鑑賞するという体験は、美術館を身近な存在として感じてもらえるきっかけになるように思います。その子どもたちが大人になり、やがて第二の人生を歩む際には、今度は生涯学習のひとつとして富弘美術館を活用してもらえればと夢想しています。  

 美術館は、地域の貴重な財産です。しかし、貴重な財産を有効に活用しているケースは、そう多くはないのではないでしょうか。その点、みどり市の教育行政方針には「富弘美術館と連携して、心の教育の充実を図ります」と明記されています。

 子どもたちの生きる力になる「豊かな心」を育む授業モデルは、地域の特色を生かした授業モデルです。それをみどり市から全国へ発信したい。それこそ富弘美術館の重要な使命だと思っています。

 

 

2014年4月19日 上毛新聞『視点 オピニオン21』掲載

 

 

 

2014年 12月 26日更新

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