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学芸論文

上毛新聞「視点 オピニオン21」より 

『美術館の役割(4) 館外展示で作品身近に』

  富弘美術館 館長 聖生清重
 

 前橋市の群馬大学附属病院のアメニティースペースに2012年4月、星野富弘さんが寄贈した詩画作品を展示した「星野富弘花の詩画展示コーナー」がオープンしました。

 群大の高田邦昭学長は、展示コーナーの開設にあたって、「医療の原点は病を持った患者さんを全人的にサポートするという点にあると思います。富弘さんの作品を見ることで多くの患者さんが元気づけられることでしょう。また、本学の教職員や医療人を目指す学生にとっても、真の医療とは何なのかを考える機会を提供してくれることでしょう」と富弘美術館季刊誌のエッセーで述べています。

 開設後、入院患者600人強、1日当たり外来患者約2千人、および付添いの方々に喜んでいただいているとのことです。展示コーナーが病院に必要な「全人的サポート」の手助けをしているとしたら、「いのちの尊さ・いのちの輝き」を発信する富弘作品を展示する富弘美術館にとって、社会から必要とされる役割を果たしていることになり、大いにうれしいことです。

 また、2013年3月には、群馬大学荒牧キャンバスにある体育館の正面玄関の壁に、富弘さんが群大時代に器械体操と岩登りに熱中した際の写真十数枚が飾られました。現代の群大生に、先輩である富弘さんの「挑戦する青春」から何かを感じ取ってもらいたい、との関係者の希(ねが)いを込めたものです。

 病に苦しむ人を慰め、勇気づける展示コーナー。未来に生きる若者にメッセージを贈る写真掲示。いずれも、富弘さんの全面的な協力あって実現したものですが、こうした「館外展示」は、実は長い歴史があるのです。

 富弘さんが創作する詩画作品は、みどり市立富弘美術館と熊本県芦北町立星野富弘美術館で常設展示しているほか、1991年の富弘美術館開館以前からも、年に数回は全国各地で、平均して10日間から2週間の期間で詩画展が開催されています。

 実行委員会や自治体、報道機関などが富弘さんの許諾を得て開く詩画展の2013年までの開催回数は、北海道から沖縄まで全国で232回(海外展含む)、総入場者は三百数十万人にのぼります。

 この詩画展に対して富弘美術館は、作品の搬出・搬入、展示指導、チラシ・ポスターの制作協力、ボランティア教育などを行っています。絵と言葉(詩文)を一つの画面に一体的に表現した詩画の普及を使命だと考えている富弘美術館の大事な業務です。

 富弘美術館になかなか来館することができない遠隔地にお住まいの方々に、詩画という芸術をより身近なものとして感じてもらうことができる館外展示は、言い換えれば“移動美術館”です。富弘美術館と連携した移動美術館が今後も回数を重ね、詩画に親しむ人々が増えることを願っています。

 

 

2014年6月10日 上毛新聞『視点 オピニオン21』掲載

 

 

 

2014年 12月 26日更新

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