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学芸論文

上毛新聞「視点 オピニオン21」より 

 『富弘作品の魅力(2) 豊かな心育む館外活動』

  富弘美術館 主任学芸員 桑原みさ子
 

 今回は、美術館外での、富弘作品の魅力を伝える具体的な活動を紹介します。

 人々を勇気づける活動を継続的に行っている人たちがいます。「いのちの電話」の相談員の方々です。名前を伏せ、ボランティアで活動しています。

 昨年11月に、「いのちの電話全国大会」が安中市で開催され、この分科会で講話をする機会を与えられました。さまざまな電話相談を受けている相談員の皆さまの前で、はたして私の話が役立つのだろうかと不安でした。スライドを利用して、富弘さんの生き方と作品を紹介したところ、思いの外、好評で「いのちをありがとう。本当に生かされているのですね」「今の苦しみから抜け出せそうです。明日は美術館に参ります」など、多くの感想が寄せられました。

 一昨年3月に、赤城養護学校から富弘美術館に依頼があり、群馬大学医学部附属病院内教室で詩画講座の授業を行ったことがあります。先生も子どもたちも全員マスクでした。菌に触れてはいけない病状の子がいるためです。土や花にも触れてはいけないのです。外には出られず、描きたいものをすべてパソコンに取り込み、画像を見てのスケッチとなりました。先生方が事前に画像を入れておいてくれたのです。その上、子どもを少しでも明るくしてあげるために、先生方はお面を付けて話をしたり、色鉛筆を配る時は売り屋さんに扮(ふん)したりと、通常の学校では考えられない工夫をし、アットホームな雰囲気で笑いが絶えませんでした。すばらしいと思いました。

 私の方が、闘病生活を送る子どもたちの姿に、いのちの輝きを感じ、支える先生方の熱意に感動した時を過ごさせていただきました。

 みどり市教育委員会では、「どこでも出前講座」を設けています。69の講座があり、富弘美術館は三つの講座を担当しています。「星野富弘さんの作品と富弘美術館」「星野富弘さんの詩やエッセイの朗読」「鈴の鳴る道」です。ここ数年の利用率は高く、公民館や地元施設からの申し込みもありますが、小中学校からの申し込みが多くあります。富弘美術館は、豊かな子どもの育成を目的とした授業実践の一助として関わっています。

 依頼は、道徳、図工美術、総合学習、人権学習などです。今年は、公募展効果もあり、特に実技指導の申し込みが多くありました。鑑賞文を書く国語の授業もありました。朗読の出前講座も年を追うごとに増えています。

 地元出身の富弘さんの作品を知り、触れることで、心動かされる体験を自らのものにしてゆけるのではないでしょうか。何日か後に、あるいは時を経て、実際に富弘美術館に来て富弘作品に触れることで、さらに感動を深め、豊かな心を育んでゆくきっかけをつかんでいただけたらと願っています。

 

 

2015年2月23日 上毛新聞『視点 オピニオン21』掲載 

 

 

2016年 1月 12日更新

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